期間限定 ふんわり風俗嬢の内緒話

ひょんなことからまさかの風俗業界に足を踏み入れた、新米風俗嬢の内緒話です。

仕事が終わると

仕事が終わるといつもホッとする。
今日も無事だった。
今日も収入があった。
そう深く安堵する。

事務所で精算しその日の自分の稼ぎを手にする。
たしかに自分で働いて手にしたお金なのに、実感がわかない。なんというか、ただの紙切れを手にしているような無感情。
「ああ私、今日も頑張ったなあ」という、自分をねぎらう気持ちも、ない。

事務所を出た瞬間、お金のことはきれいに忘れる。仕事のことも、忘れるようにする。


自分では気持ちをスパッと切り替えているつもり。
だけど、仕事の後は空の美しさも、空気の匂いも、わからない。
ぼんやりとして神経だけがたかぶっていて、無感情、無表情の「空っぽの人形」のようになっている。


しんどかった、と思い出すことさえ腹立たしくしんどい時もある。
そんな時は「あの人」のもとに飛んでいって、わんわん声をあげて泣いてしまいたい気分になる。


電車の中で「終わったよ」と「あの人」に報告する。「あの人」の写真を見て、メールを読み返す。
目を閉じて深呼吸をする。

やっと「私」が少しだけ戻ってくる。