期間限定 ふんわり風俗嬢の内緒話

ひょんなことからまさかの風俗業界に足を踏み入れた、新米風俗嬢の内緒話です。

タイマー事件

私の仕事ではタイマーが必需品だ。
時計を見ながら接客するのでなく、「退室まで残り◯分」というデジタル表示と終了までに二度鳴るアラーム音を頼りに接客を進める。

もう少し詳しく説明すると、
例えばお客様のコース時間が60分だとしたら、60から15を引いた(この15は退室前のシャワーと着替えの時間の15分)45分を入室前に表示させておき(分数分カチカチと押さなければならないので、お客様の目の前でカチカチとセットするのはあまりにも味気なく失礼に思うので)、
お店に「INコール」と呼ばれる入室の電話連絡が終わったところからピッとスタートさせお遊びのお時間が開始となる。
タイマーが切れる10分前と5分前にそれぞれアラームが鳴り、タイマー切れたところでリセットし、今度は12分をセットする。正確には前述の通りシャワーと着替えを済ませ「OUTコール」というお店へ退室の連絡をして退室するまでが15分なのだが、タイマー音が鳴ったからさっさとシャワーへ移動や、はい、さよならはこれまた味気ないので若干の余裕をみて私は12分に設定する。するとOUTコールを入れる時にはきちんとコースお時間終了時間になっている。
(余談だが、この12分のタイマー再セットは自分で必要性を感じ、考えて取り入れた。)

前置きがかなり長くなったが、以前このタイマーにまつわる凄く嫌な事件があった。


初めてのお遊びから2ヶ月近く経って本指名で返ってきて下さったとあるお客様。
若干癖はあるけれど特に嫌な感じの方ではなく安心して接客を進めていた。
入室後のシャワーが終わり「じゃあ先に上がっているね」とお客様が仰るのでそのようにして頂いた。
その時タイマーはロックをかけた携帯と一緒にベッド近くのテーブルに置きっ放しだった。
私もほどなくしてシャワーから出て、タイマーで残り時間を確認し接客を続けていた。が、なんとなくその時あれっ?と思った。その頃入店して1ヶ月は経っていたし、「このコース時間とこのシャワー時間なら残りがだいたいこれくらいあるだろう」というざっくりした目安がわかるようになっていたからだ。
何かが違う…でもきっと気のせいだ、と思った。

感覚的にもうそろそろアラームが
が鳴ってもいい頃なのに、鳴らない。
途中で中断するわけにもいかず、あれ?あれ??と思いながらお遊び時間を終了し、OUTコールをする時に気がついた。
INコールから計算すると時間が合わない。
10分も長くなっていたのだ。
私は血の気が引いた。
これは重大なことで、通常ならOUTコール予定時間より5分遅れたらお店から確認電話がはいることになっている。
その確認電話が入らなかったこと、そして何より結果的に10分も無料延長となってしまったからだ、

私はタイマーセット時、スタート押す時、必ず時間に間違いがないか確認する。人間だから絶対はないけれど、ここは絶対に間違えないよう細心の注意を払っている。
とすると、考えられるのは先にシャワーからお出になったお客様が、残り時間を10分長く表示されるようタイマーをいじった…それしか考えられなかった。

でも現場を自分の目で目撃したわけでもないので、上機嫌なお客様を前になす術がなかった。
たまたま次に仕事が続いておらず、店側もうっかりしていたのかもしれない。
誰を責めるわけにもいかず、その場は自分の不注意だったのだと言い聞かせた。

それ以来、私はお風呂場にタイマーを持ち込むことが癖になってしまった。
お店に迷惑をかけたり、お客様を疑ったり、そんなことは嫌だから自分自身がしっかり気をつけなければならないと肝に銘じた出来事だった。