期間限定 ふんわり風俗嬢の内緒話

ひょんなことからまさかの風俗業界に足を踏み入れた、新米風俗嬢の内緒話です。

心を病む

私は仕事の待機室で他の女の子と一緒になっても、挨拶程度はするが

基本的には会話をすることはない。

ただでさえ、女同士は面倒くさい。トラブルを避けるためにもプライベートに踏み込まれたくない、踏み込みたくないのだ。

 

ただ、会話はせずとも「ああ、もしかしたらこの人は心が病んでいるのかもしれない」と思うときがある。

共通して言えるのは、

 

挨拶ができない。挨拶をしてもスルー。

靴を揃えられず脱ぎ散らかす。

トイレやキッチン、みんなが使うところをきれいに使えない。

死んだようなうつろな目をしている。

 

病んでいるからこの仕事しかできないのか、

この仕事をして病んでしまったのか、

そもそも病んでいなくて元々そういう人なのか、

よくわからないけれど、なんとなく気の毒だなあと思わずにいられない。

 

こういう仕事をしていることを話せる他人というのは、多くの人はまずいないだろう。家族や彼氏、友達が公認だったらなんの問題もないが。

誰にも話せないということは、いいことがあってもいやなことがあっても、仕事のことをすべて自分の中だけにとどめなければならないということ。

どんなに聞き流そう、忘れてしまおうと努力しても追いつかないときだってある。

いいことなんてないに等しいので、いやなことすべてをダイレクトに受けてしまっていたらあっという間に病んでしまう。

病んでしまったら自分がもっと辛くなるだけ。

誰も助けてなんてくれない。

仕事に行きたくなくなり、仕事ができなくなり、稼げなくなる。

 

一般職よりも短時間で稼ぐことができる。

しかしそれと引き替えの代償はとても大きいのだ。

 

私には幸い「あの人」がいてくれて、仕事のどんな辛い話でも聞いてくれる。

すごく支えてもらっている。

自分の女が風俗で働いている。嬉しいわけがない。

心配をかけっぱなしだし、我慢だってさせてしまっている。

それでも、私のいちばんの理解者でいてくれて、一日も早く卒業できるようにと

応援してくれている。

普通じゃ考えられないことだ。

(読んでいる人に誤解を与えないためにあえて言うが、「あの人」は私のヒモでも

私の借金主でもない。)

 

そんな私でさえ、強烈なストレスにさらされると心を病みそうになる。

病まずにいられるのは、「あの人」がいてくれるからこそなのだ。

一日も早く卒業するためにも、心身ともに元気でいたい。