期間限定 ふんわり風俗嬢の内緒話

ひょんなことからまさかの風俗業界に足を踏み入れた、新米風俗嬢の内緒話です。

優しい強がり

何気に私が見たものは、本当は見るべきではなかったのかもしれない。
そこは私が絶対に立ち入ることのできない領域で、なんとなく温かく揺るぎないものに感じた。
それは私を安心させ、少しだけざわざわさせた。
「あの人」はどんな顔をしてその場に佇み、どんな思いを抱いていたのだろう。

そこに私はいない。

やめればいいのに、ひとつ、またひとつと目線を移す。
そのたびに心が絞られるような切ない気持ちになった。
そうか、これが嫉妬なのかもしれない、と忘れかけていた…いや、あえて持たないようにと長いこと精一杯自制してきた感情に気がついた。

死んだようになっていた自分の心が、まだちゃんと生きていて機能することに安堵した。

…という、精一杯の優しい強がり。

「あの人」が日々心悩ますことがあるとしたら、私のそれなど取るに足らないこと。
両手から溢れるほどの愛情を、私はいつも貰っているのだから。
そんな幸せなこと、ないのだから。