期間限定 ふんわり風俗嬢の内緒話

ひょんなことからまさかの風俗業界に足を踏み入れた、新米風俗嬢の内緒話です。

私が風俗嬢でいる理由

私が風俗の道に入った理由は、経済的事情が絡む目標があるからだ。

自分の今おかれている生活環境を考え、いかに効率的に短期間で目標を達成できるかを考えた時に、この仕事が自分に今できる最大限の近道だと思った。

ずるい・・・たしかにそうだと思う。地道にごく一般的な仕事をコツコツとやれば、時間がそれなりにかかっても目標は達成できるはず。もし人に知られれば、否定はされても肯定されることはなく、「まわりを欺いて最低な人間ですね」ということになるだろう。

そう、私はずるくて最低な人間だと認識している。

目標達成のためにやっているこの仕事だけど、辛く苦しいことのほうが多い。

仕事なんだから当たり前。ましてや普通に仕事をするより大きなお金を稼げるのだから、辛く苦しくて当たり前なのだ。それでも、ほんの一握りでも嬉しい瞬間というのがある。

それは、

私を肯定し、認めてもらえた時。

綺麗、可愛いと褒められて女としての自分を肯定できた時。

お客様に「ありがとう」と感謝され、お客様の笑顔を見れた時。

数多くの女性の中から選ばれた時(もちろん、選ばれなければ収入に繋がらないが)。

リピーターとしてお客様が自分に返ってきた時。

お店から感謝され、褒められた時。

 

そんな時に、「私」という存在が報われるような気がする。

私はとにかく自分に自信がない。外見的なことも含め、いつも「これでいいのかな」という不安がある。そんな私でも、たとえ一時のまやかしでも「綺麗、可愛い」と褒めてもらえ、心を込めて接客をすれば「本指名」という形になって返ってくる。

やったことが結果として目に見える。手応えがある。そして、褒められること、選ばれることで自尊心が満たされる。

褒められたい、認められたい・・・小さい頃からずっと思ってきたことが、この仕事をしていると叶ってしまう。 だから辛いことが多くても風俗嬢をやれているのだと思う。

 

自分に自信がないから、源氏名の力を借りて違う自分を演じている。

「いつも楽しそうだよね。この仕事が向いてるんだよ」

そんなふうに店のスタッフやお客様からよく言われる。そう言われるたびに、「してやったり」と思う。ちょっと自信がつく。

源氏名ではない自分は、好きでもない男性の前で裸になることすら、絶対にやりたくないこと。でもイヤイヤやっていてはお客様を喜ばせることができない、いい仕事ができない。だから、無理矢理にでも楽しいと思えることを見つけ出して、せめて接客の間だけでも目一杯演じる。

 

この仕事を始めてから「あの人」に出会った。

短い時間を繋ぎ合わせて思いを通わせていくうちに、どんどん「あの人」のことが好きになった。愛を確信したあたりから、私は少しずつ、風俗を引退する道をよりしっかりと考え始めるようになった。「褒められたい、認められたい」気持ちはいまでも変わらない。でも、「あの人」に出会ってから、以前ほどそれを他に求めなくなった。自信だって今でもないけれど、「こんな私でも愛してそばにいてくれる人がいる」ということが、自信を持つための小さな積み重ねとなっている。

つまり、経済的事情が絡む目標以外に私が風俗嬢でいる理由があまりなくなってきたということだ。

 

引退したらこんなことをやってみたい・・・そんなこともイメージできるようになってきた。無事に引退できるその日まで、めげずに頑張らなくてはいけない。