心の足跡〜独り言
「じゃあ、またね」とお互い違う方向に歩き出して、私はふと振り返り「あの人」の背中を目で追った。
もくもくと歩き遠ざかっていく「あの人」の中には、もう私はいないんだろうなと思った。
少しだけ胸がぎゅっとなったけれど、またすぐに会えるのがわかっているから辛くはなかった。
もし、次に会えるのがいつになるかわからないほどなかなか会えない仲だったら、色々と辛くなったかもしれない。
色々心を過る思いが時々あるけれど、それを差し引いても私は「「あの人」だけの女」でいられることが幸せでならない。