電車の中で涙した日
仕事の帰り、ぶらりと立ち寄ったお店でかかっていた曲に思わず耳が反応した。
普段、私は音楽が聞こえても歌詞がダイレクトに耳に届くことは皆無だ。
それがその時は音も歌詞も「絶対に逃すまい」と強く思い、聞こえてきた歌詞のほんの一部分をその場で慌てて携帯にメモをし、検索をした。
なにが自分のこころをそこまでとらえたのか、言葉でうまく説明ができない。
音の波が心地よかったのか、ボーカルの声がよかったのか、歌詞がよかったのか、 そのすべてがよかったのか・・・。
調べてみると、吉田山田(よしだやまだ)という二人組の「日々」という歌だった。 NHKの「みんなのうた」で流れ、話題になったらしい。
電車の中で、繰り返し再生した。
よくわからないけれど、たんたんと老いるまで夫婦をやっていたら、もしかしたらいつかこんなふうに思うときがくるのかもしれない。
電車の外には夕焼けの足跡が広がっていた。
大好きな「あの人」を想った。 寂しいとか辛いとか、そういうんじゃなくて、 今、私の人生に「あの人」がいることをとても誇らしく幸せに思った。
人がたくさん乗っている電車の中だということも忘れ、涙があとからあとから 流れてきた。